後編まで長らくお待たせ致しました。
今回このようなブログを書いたには理由がある。
先日、うちの店の近くのホテルに泊まったいたフランス人家族が、うちの靴に興味があったらしく店に立ち寄ってくれた。年配のパパン(娘さんはそのように言ってた)が特に靴好きなようで、うちの商品をあれこれ触ってはこれが良いだ、このデザインが好きだと語ってくれた。
そんな中で彼がうちのGBを手に取った。
思わず僕は「フランスにもありますよね?こんな靴、J社の」と思わず自ら口走ってしまった。
そしてパパンが一言
「何足もJ社の靴は持っている。靴が好きでね。」
「そして彼らの靴からインスパイアを受け、これを作った事も分かってる。」
「価格は全然違うけど、この靴もまちがいなく良いと言うことは分かるよ。」
そして彼はスマホの中に入っているJ社の工場やタンナーと言われる革を作る工場の写真を僕に見せながら靴の事を熱く語ってくれた。
その語りがあまりにも長かったの為、娘さんに「今から京都行くんだから!!」と
腕を引かれ、泣く泣く去っいった。
この出来事が嬉しくて、これは皆さんに知ってもらわないと、そしてもう一度うちのGBの事を知ってもらわないと。こういったわけでこのブログを書くことを決意した。
前回のブログで書いたように、J社のゴルフ、P社のシャノン。
そんな感じのものを作ろうとこのGBの制作は始まった。
この靴業界に入ってこの2つのモデルをイメージに靴を作ると言う依頼を受け何度かチャレンジしてきた。
形にはなるのだが、正直言ってはあまり満足がいくものが出来ずにいた。
何故だったのか今となっては良く分かる、やはり作るだけの部分を依頼されているとどうしてもゴールが完コピになってしまう。
やはり本物を超えると言う事は非常に難しい。
でも今回は違う、お客様の希望があって、自分たちに譲れない部分があって、作る人にもあまり負担を掛ける事なくと考えると、自ずと着地点は少し違う地点になってしまう。しかしそれで良いんだと思う。
そんなこんながあってGBは生まれた。
大変お待たせしました、それではGBについて語ってみたいと思います。
GBの特徴はいくつかあると思いますが
お客様は「えっ」と驚かれるかもしれませんが、モカ部分の拝みモカ非常に特徴的です。
一見簡単そうなこの仕様。この貼り合わせるモカと下に来る枠(本体パーツ)のエッジを薄くする漉き(すき)加工
これが出来る職人さんが意外と少ない理由で、国内は大手メーカーを除いてあまり採用しているところがある少ないです。
やり方はと言うと、実は誰でも出来そうだし、多分やれば誰でも出来るのですが、それを漉く為のアタッチメントの金具を持っているかどうかにかかっていてます。新しく購入することが難しく、機械屋さんにお願いしても作るのが面倒だと断られたりするこの代物。私はたまたま数年前に師匠から持っていると便利だからと頂戴したおかげでGBにも拝みモカを採用することが出来ました。
最近ではお客様よりモカ割れしますか?と聞かれたりする何かとお騒がせな仕様ですがそのエッジを限り無くシャープに漉き落とせた時、モカの貼り合わせのエッジが綺麗なので採用しています。ちなみに縫っている部分からエッジまでのはのりだけで接着しているのでいつかは剥離してしまいます。申し訳ないです。
そしてアッパーのデザインも特徴の一つです。
モカのラインからヒールパートにかけて伸びるライン。
これはどうしてもポッてりした印象になりがちのカジュアルなシューズを縦に長く走るラインを入れる事でスリムに見えるように意識しています。これはレッドウィングやラッセルモカシンのような古くからあるアメリカのTHEモカシンシューズで見られ、自分自身もこの2つのブランドではないんですが、履いていた事もあり採用しました。サンプルを作る段階で、パーツが大きくなりすぎる為にセパレートにする事も考えました(現に旧モデルのGBはセパレート)が結果
某靴雑誌元編集長Sしの「ここは1枚でしょう!」との一言で流れるラインは踵まで伸びる事となりました。
そして最後にフィッティングについて
こちらはこのモデルを作るきっかけとなった紳士との会話の内容を出来るだけ再現しようと意識しました。ドレスシューズで培ったフィッティングに対する考え、GBを作るまではカジュアルシューズに関しての靴型の設計は大は小を兼ねる的な考えで良いと勝手に思い込んでいました。その考えを一掃しできる限り770ラストから得た情報を落とし込みドレスシューズの延長線上にあるカジュアルラストを目指しました。
結果、初めからあまりリラックスしたフィット感はなく、どちらかというとピッタリしている靴となり、それが良い意味でお客様に受けているのではないかと自分達では思っております。
そして特徴ではないのですがもう1点皆様にお伝えしたい事が
品番の由来です。
時々お客様に質問されることなんですが、他の商品は数字の品番なのにGBはなぜアルファベットなんですか?やそもそもGBはどのような意味があるのですか?と質問を受けます。
「吉見さんはイギリスに住んでたから、やはりGBといえばグレートブリトンからですか?」とか皆様色々想像してくれ嬉しいですが
もう知っている方も多いと思います。今一度ここで説明を
前編、後編と何度も出て来ております、この靴が生まれるきっかけとなった紳士のお話で某フランスのメーカーJ社のゴルフという名前が頻繁に出てきました。
そのような理由から、今回は愛称で呼ばれるようなものも良いなと考え始めました。
サンプルが出来上がり靴型の品番を決める頃、いつもの通勤で通過する公園で近所のご高齢の方々がゲートボールをプレイされておりました。
ゲートボール?
「ゴルフ≒ゲートボール」
これだ!となりGATE BALLの頭文字をいただきGBとなりました。
このブログを書いていて、このサンプルを作っていた頃の事を色々思い出しました、まさかうちのベストセラーになるとは思ってもいなかったですが、何か良いものが出来てい行っていると言う実感を持ってサンプル製作は進行していたのを覚えています。
自分自身も一番履いている靴になりました。
7年ほど前にリリースして以来、既製品としての後続の品番がまだリリース出来ていない現状は辛いですが、目下企画中ですとお知らせしまして、本日のブログは終わりとさせていただきます。
ウェブショップにて黒のGB001は在庫補充されております。
ご興味のある方はぜひご覧ください。