靴型は靴のフォルムやデザイン、フィッティングの両面において重要な基盤となるものです。
本来、オーダー靴専門でもない私が、靴を企画する際、靴型はその専門の職人さんに作リたい靴のイメージを伝えて制作をお願いするのが基本。手を加えるとしても靴の見ためを大きく決めるつま先部分ぐらいで、それ以外のボディ部分は言うなら「聖域」。素人が手を出してはいけないという暗黙のルールがありました。私も以前工場で靴の企画に携わっていたときは用意された靴型にデザインをのせ、型紙を起こすのみでした。
工場から独立した頃、ある靴の企画に携わった際、クライアントから強い要望で靴型を自分で制作することなりました。その時は渡された参考写真のイメージに近づけるだけで、いわゆる自分の意志は全く無い「コピー」。仕事としてクライアントのイメージが最優先で、フィッティング感についてはあまり意識していませんでした。そういう過程で、「この靴型は果たして人の足に対して理想的な形状をしているのか?」と疑問を持ち始め、「もう少しこうだったらどうだろう?」 と、次第に自分の考えを一度かたちにしてみたいという気持ちが生まれました。
そのためにまず、基本から靴型の制作方法、 足の特徴の勉強を始めました。また人の足型を採寸し、 どのような形状、傾向をしているかデータとして蓄積しました。さらにパタンナーとして ドレスシューズからカジュアルまで様々な靴型を観察した経験を融合させて今回オリジナルブランドで納得のいく靴型制作を試みました。
既製靴として履き心地を一番に、足形の採寸データをもとに日本人の足の特徴を踏まえたものを 目標に、基準となる形状と数値を持つ「設計図」をまず起こしました。それをもとにベースとなる木型を削り、足りない部分に革やパテを盛り目標のかたちに近づけました。
一度出来たものを試作靴にするために、プラスチック製にしようと木型工場に持っていきましたが、、、。 「素人が削って、、、。」と職人さんから予想通りのコメント。 しかし自分の靴型の意図をしっかり伝え、 「こだわり」は残しながらも、プロの職人さんの教えを頂きながら細部を詰めていきました。 また、このブランドは既製靴なので底付工場に靴型を見せ、量産する際に問題無いのか 職人さんと話し合いを重ね修正しました。 さらにサイズ展開し(24.5 ~26.5まで) 、足入れサンプルを作り、実際に履いてもらい修正点を反映させてフィッティングの精度を高めていきました。
このような背景を経て、RENDO オリジナルの靴型が出来上がりました。しかし、それは『完成』を 意味しているのではありません。実際にお客様に履いてもらい、ある程度の良いフィードバックを頂いているのですが、細かいフィッティングの感想をデータとして残しつつ、また日々の生活で履いてもらった感想を頂けたらと思います。それらを、次の『発展』に繋げたいと思いますので、何卒ご協力宜しくお願い致します。